アートテレビ

今回、私たちが新たに開発したテレビスタンド「FRAMESTAND」誕生の背景には、テレビの画面に絵画を映し出すだけでなくフレームを額縁としてデザインし、テレビ全体を一つの作品に見立てるという「アートテレビ」があります。これは世界のテレビ市場で先端を行く壁掛けモデルであり、テレビスタンドのリーディングブランドとして私たちも近年注目していた潮流です。

アートテレビ

探究心

しかし、私たちの視点は市場ありきのものではなく先見的なものです。時代の変化とテクノロジーの発展に伴い、部屋に鎮座する主役から空間の一部となりつつあるテレビに独自のソリューションを提供してきた私たちですが、テレビを取り巻く環境はこの先どうなっていくのかという探究心が途絶えることはありませんでした。既存の製品に満足せず、常に模索を続けることが一番の産みの苦しみです。

探究心 探究心

インテリア化させる形と機能

「FRAMESTAND」の研究開発を振り返ると、テレビにテキスタイルを被せる人たちがいることに以前から私たちは気づいていました。テレビはプロダクトとしても美しく進化していますが、視聴していない時は黒く無機質なものとして感じる人がいるのも事実です。そこに登場したのがアートテレビですが日本ではテレビの壁掛けが主流ではありません。だからと言ってテレビを「インテリア化」するアートテレビのスタンドの存在感が強くては本末転倒です。

FRAMESTAND

そこで私たちは、スタンド中央の1本の太い支柱を2本の細い三角形状の支柱にして左右に設計しました。三角形の底辺を外側に向けることで錯視を誘発し、正面からの視覚的圧迫感を最小限に抑えることに成功しています。しかし、支柱の太さはスタンドの安定性に直結します。これまで培ったノウハウをもとに、三角形の三辺の和、左右の支柱の間隔、そしてテレビの重心位置をミリ単位で調整し、空間にカモフラージュする抜け感がありながらも高い安定性を実現しました。

フローティングシェルフ

スタンドの造形美と機能を損なわずにいかに周辺機器を共存させるか。この課題にはリアルな暮らしの中から着想を得ました。Vシリーズスタンドの支柱の最も低い位置に棚板を取り付け、その上ではなく下の床にレコーダーを置くことで棚板を屋根として使い、機材を隠しているユーザーがいたのです。そこで、薄い箱型の棚を設計し、極薄の土台の上に固定することで、棚自体もその中身も視界に入り難く計算されたスマートなデザイン(フローティングシェルフ)を生み出しました。

フローティングシェルフ

「FRAMESTAND」はアートテレビに限らず大型テレビを空間に馴染ませるスタンドとしてインテリアデザインにおいて新たなポジションを築いていくかもしれません。しかし、私たちの暮らしへの弛まぬ好奇心はさらなる暮らしのアイデアへと導いてくれるでしょう。

探究心 探究心